名古屋入管に収容中の女性が死亡、遺族が局長ら刑事告訴

著者 小林 誠

日本で死亡したスリランカ出身の女性の遺族が9日、女性に適切な医療を提供しなかったとして、出入国管理当局者らを殺人容疑で刑事告訴した。日本メディアが報じた。

ウィシュマ・サンダマリさん(33)は今年3月、名古屋出入国在留管理局に収容中に死亡した。昨年8月から不法残留の疑いで収容されていた。

今回の告訴は、告訴状を提出した名古屋地検に対し、サンダマリさんの死亡をめぐってさらなる調べをするよう迫るのが目的とみられる。

サンダマリさんの問題をきっかけに、入管当局による収容者への対応が問題視されている。

入管はノーコメント

報道などによると、告訴は名古屋入管の当時の局長や死亡当日の看守の責任者ら、入管当局の数人についてなされた。

同入管は「お答えする立場にない」として、コメントしなかった。

サンダマリさんは2017年に学生ビザで来日。昨年8月、同居者から暴力を振るわれ、当局に支援を求めた。

しかし、不法残留の疑いがあるとして、名古屋入管に収容された。

彼女と面会していた支援者らによると、極度のストレスでサンダマリさんは体調が悪くなり続けた。そして今年3月、全身状態の悪化により死亡したとされる。

監視カメラ映像

サンダマリさんの死をめぐって、日本では怒りが噴出。死亡に至るまでの情報開示などを求める路上デモが名古屋、東京、大阪で起きた。

彼女に関する監視カメラ映像の全開示を要求する文書は、学生や外国人支援団体によって広がり、9万3000人以上が署名した。

映像の一部が遺族と弁護士に開示されると、抗議の声は一段と高まった。映像には、サンダマリさんが死亡数日前、衰弱が進んで反応できなくなっていると思われる状態になっても、入管当局は救急車を呼ばなかった様子が記録されていた。

遺族は入管当局の対応について、サンダマリさんが死亡しても構わないという未必の故意に相当すると主張した。

外国人への対応

国側が8月に出した最終報告書では、サンダマリさんの健康悪化の詳細情報を職員らが共有していなかったことや、職員らに人権意識が欠けていたことなどが明らかになった。

サンダマリさんは難民認定申請者ではなかったが、彼女をめぐる問題は、日本の入管制度内で身動きが取れなくなっている人々の処遇について、注目を集めることとなった。

彼女の死によって噴き出した社会の怒りは、難民申請が認められなかった人などの送還を容易にする入管法改定案を廃案へと追いやった。

同改定案では、難民認定申請者は2回まで申請ができるとしていた。申請回数に関しては、それまで制限はなかった。

日本の難民認定の規則は厳格で、認定されるのは例年、申請者の1%未満となっている。欧米などの先進国の認定率は30~40%で、日本は大幅に低い。

取材:ズバイダ・アブダル・ジャリル(BBC)

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