「京アニ」放火事件の初公判、被告は起訴内容認める 責任能力が争点

著者 阿部 翔太

京都市で2019年、アニメ制作会社「京都アニメーション」(京アニ)のスタジオが放火され、36人が死亡した事件で、殺人や殺人未遂、現住建造物等放火など五つの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の初公判が5日、京都地裁であった。青葉被告は起訴内容を認めた。

2019年7月18日に起きた京アニの放火事件は、日本史上最悪の殺人事件のひとつ。

青葉被告は京アニの建物に入ると、ガソリンのような可燃性の液体をバケツでまき、「死ね!」と叫んで火をつけたとされる。

死亡した36人の多くは若いアニメーターで、上の階から逃げ出せなかった。ほかに32人が負傷した。

重いやけどを負った青葉被告は、初公判に車いすで出廷し、「こうするしかないと思ったが、こんなにたくさんの人が亡くなるとは思わなかった」と述べた。

検察側は死刑を求刑するとみられる。一方、弁護団は、被告は心神喪失の状態だったとして無罪を主張。仮に有罪となっても、著しい心神耗弱で減刑されるべきだと訴えた。

冒頭陳述で、検察は青葉被告の犯行動機について、「被告は、京都アニメーション側に小説のアイデアを盗まれたと一方的に思い込んだ。筋違いの恨みによる復しゅうだ」と指摘。妄想に支配された犯行ではなく、完全責任能力があるとした。

京都地裁ではこの日、35席の傍聴券を求めて、早くから約500人が列をつくった。

判決は来年1月25日に言い渡される予定。

1981年創業の京都アニメーションは、「けいおん!」、「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」などの人気アニメ作品を制作。

2016年にはアニメ長編映画「聾(こえ)の形」を制作し、日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞。英紙ガーディアンは「魅力的な映画。繊細で快く、かつデリケート」と評し、4つ星の高評価を与えた。

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は動画配信サービスのネットフリックスによって、世界的に配信された。

事件が起きた日には、安倍晋三首相(当時)が、「本日、京都で発生した放火殺人事件では、多数の死傷者が出ており、あまりの凄惨さに言葉を失います。お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りいたします。負傷された皆様にお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い回復をお祈りしています」とツイッター(現X)に書いた。

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